【フィラリア症とは】
フィラリアとは犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)とも呼ばれる、犬の心臓に寄生する寄生虫(線虫)のことです。
フィラリアに感染した犬を蚊が吸血し、蚊の体内にフィラリアの幼虫であるミクロフィラリアが取り込まれます。
取り込まれたミクロフィラリアは蚊の体内で成長し、1カ月ほどで幼虫となります。
その幼虫は、蚊が他の犬を吸血した際にその犬に感染します。

幼虫は全身の筋肉や脂肪のすき間などで2カ月ほどで成長します。
成虫となり、静脈を通って最終的に右心房、肺動脈へと行き着きます。
その後、成虫はミクロフィラリアを産みます。
ミクロフィラリアは、全身の血管を流れ蚊に吸血されてまた別の犬へと移動します。

感染した犬は無症状の場合もありますが、慢性的に心不全と同じような症状がみられることもあります。
また、血尿や呼吸困難など急性症状が現れ、死に至るケースもあります。
とても恐ろしい病気です。


【かかりやすい犬種・年代】
全ての犬種、年代がフィラリア症に感染する可能性があります。
室内飼育よりも室外飼育の犬の方が感染リスクが4〜5倍と高くなります。


【フィラリアが寄生してしまった時の症状】
犬にフィラリアが寄生した場合、以下のような症状がみられます。

○初期症状
寄生した数によって異なりますが、初期はほとんどが無症状で、数年たって症状が出てくる場合が多いです。「慢性的な咳」「元気がない」「散歩を嫌がる」といった症状がみられます。
フィラリアは心臓と肺動脈に寄生しますので、心不全と同じような症状が現れます。

○末期症状
初期症状の次は、「食欲不振」「多臓器不全」「腹水(お腹に水が溜まる)」「末梢の浮腫(むくみ)」など、重篤な症状がみられます。
また、成虫が本来の寄生場所から後大静脈へと移動し、大静脈症候群と言われる急性症状が現れることもあります。
「血尿(赤色尿)」「元気消失」「呼吸困難」などがみられます。
適切な処置が遅れると数時間から数日で死に至る場合もあります。

【人や猫にも感染するの?】
犬を最終宿主としていますが、実は蚊に刺された時に人や猫にも感染しています。
人ではほとんどの場合、侵入してきた幼虫は成虫になることなく死んでしまいます。
猫では感染が確認された猫のうち、約4割は完全室内飼いだったという報告もあります。
そして、突然死の原因となっています。

【フィラリア予防の方法】
「フィラリア予防薬は月に1回やるもの」という認識はお持ちかと思います。しかし、「投薬から1カ月間フィラリアに感染しない」と勘違いされている方が多いように思います。予防薬の効果は数日程度で成虫にはほとんど効果がありません。先述したとおり予防薬を投与したとしても蚊に刺されることで幼虫が体に入ってきます。その幼虫は約2カ月ほどで成虫になってしまうので、成長してしまう前に退治するのが予防薬の役目です。


【フィラリアが寄生してから「予防薬」を投与することの危険性】
毎年、フィラリア予防薬を処方する前にフィラリアに感染していないか検査する必要があります。
フィラリアにかかっていると知らずに予防薬を投与してしまうと、ショックを起こす場合があるからです。
成虫の産んだミクロフィラリアが血管に多量にいる時に予防薬で殺してしまうと、死骸に対してアレルギー症状を起こす場合があります。

「毎年、きちんと飲ませているから検査は必要ないのでは?」という声を頂きますが、飲み忘れや飲ませたつもりが吐き出していた、正しい期間飲ませていなかったということもありますので検査は必要です。また、根本的な理由としてフィラリア予防薬は「要指示薬」に指定されていて、処方には獣医師の診断(=検査)が必要です。獣医師の判断には命を預かる責任が伴いますので、「きちんと飲ませた」という情報だけでは薬を処方することはできないのです。

【フィラリアの検査・診断方法】
○レントゲン検査
心臓の中に原虫がいるかを確認します。

○超音波検査
こちらも超音波を当てることで、心臓の中に原虫がいるか確認します。

○抗原検査(血液検査)
薬を処方する時に行う検査で、早期発見が望めます。所要時間は5分ほどです。